瀧口

近況―Ephemerons はかなきものたち

ご無沙汰して居ります。正月以来、変な頭痛に悩まされ、病院に通っております。ようやく先週くらいから収まってきましたが、一時は痛みが激しくて、のた打ち回るような状態でした。(念のため、来月、脳の血管を詳しく調べてもらうことにしております。)こ…

瀧口日和(その2)

12月7日(日)、フランス人の美術研究者F先生にお目にかかるため、午後3時に表参道に行く。声を掛けてくださった仏文学者A先生の方が先にいらっしゃっていた。「F先生、このあたりに住んでいる日本人の教え子に昼食に招待されているそうで、まもなくい…

セザンヌ主義など

11月14日(金)、横浜美術館の「セザンヌ主義―父と呼ばれる画家への礼賛」展のオープニング・レセプションに、知り合いのMさんとともに出席。「セザンヌ主義」というタイトルは、少し踏み込みすぎだと思うが、セザンヌが多くの画家から敬愛された事情を…

瀧口日和

10月30日(木)、米国から一時帰国された空閑俊憲さんと、そのお友達の民子さんと、三人で昼食(前の晩に電話があり、急遽お目にかかることになったもの)。空閑さんは晩年の瀧口修造の書斎に頻繁に通っていたアーティストで、岡崎和郎作品集の編集・制…

富山から東京へ

10月19日(日)、朝、ホテルを出て富山駅からJRで隣の呉羽駅へ。駅から12〜13分ほど歩いて、大塚という集落を訪ねる。ここの龍江寺というお寺に、瀧口修造のお墓があるのだ。お参りをするときにはいつも、瀧口の生家の跡地にあるスーパーで生花を…

語り手たちの秋の声

10月某日、慶應義塾大学の三田キャンパス東館展示スペースで「語り手たちの秋の声 クレー、タピエス、トゥオンブリ」(富士ゼロックス版画コレクションによる)を見る。 クレーは「小世界」(1914年)、「フォーゲル劇場」(1918年)、「ホフマン風の情景…

異質五人展

8月10日(日)。富山から上京してきた知り合いに誘われ、新宿の紀伊國屋画廊「異質五人展 1978年より2008年の軌跡」を見に行く。芥川麟太郎、恵藤求、加藤芳信、木下晋、藤山ハンの、5人の画家による30年振りのグループ展。 恵藤画伯は会場にいらっしゃ…

肉体の叛乱

7月22日(火)。午後から外出。三田の慶応義塾大学東館展示スペースで「1968年 肉体の叛乱とその時代」を観る。同大学アート・センター所蔵資料の展示で、この年の10月に上演された土方巽「肉体の叛乱」(右図)を中心とし、併せて同年の瀧口修造や油…

詩人の航海日誌

そのまま通りを長谷方面に歩き、10分ほどで文学館前の交差点に到着。右に曲がって鎌倉文学館に向かう。何の変哲もない住宅街を歩いていくと、やがて木々が欝蒼と茂った丘の麓に達する。正門の脇の小屋で入館手続きをし、緑陰の涼しさを実感しながら木立の…

白金台から品川へ

6月21日(土)。夏至だというのに、朝からあいにく雨模様となった。早めに昼食を済ませ、白金台で開催された某学会に出席する。発表はこの日の3番目。C.D.フリードリッヒ、G.ベッリーニと、西洋美術史の正統的なテーマが続いた後に、瀧口修造の書斎に関…

本を買うなら

5月15日(木)。悪い夢にうなされたらしく、明け方に目が覚めてしまった。睡眠不足で最悪の体調だが、午後から外出。まず横浜駅ビルの某書店に行く。今日から始まる(駅ビル全体の)バーゲンで、新刊書まで1割引なのだ。最近刊行されたハードカバー3冊…

結果は抽籤で

4月17日(木)、夕方から出掛け、九段下の某所で開催された研究会で発表する。内容は1930年代末頃に発表された瀧口修造の写真論の今日的意義について。10名くらいの小ぢんまりした会だったが、話が逸れるということもなく、何とか無事に終了した。 写真を…

立方体はブドウ酒の味がする

4月11日(金)、午後から恵比寿の写真美術館の図書室に行き、発表に備えて調べ物(だが肝心の資料が使用中となっており、また出直さなくてはいけない。トホホ)。その後、六本木に出て、富士ゼロックス・アートスペースで開催されている戸村浩展を見る。…

蟄居

2月12日(火)、連休中、眼に痒みを感じたので、近所の医者で目薬・抗アレルギー剤を処方してもらう。今年も花粉症の季節が始まった。この時期は北海道か海外に移住したいくらいだ。その後、週末までひたすら蟄居。来月初旬の発表のための資料作りの日々…

少々腹の立つこと

2月1日(金)、午後から出かける。まず竹橋の近代美術館の資料室へ。先日できなかった調べ物。資料自体は簡単に出てきたが、コピーがやっかいだった。コピーの前に、申請書を記入してチェックを受けなければいけないのだ。著作権の関係から資料全頁のコピ…

1978年

1月25日(金) 午後から三田の慶應義塾大学アート・センターまで出かけ、企画展示「1978」を観る。同アート・センターの瀧口修造、土方巽、油井正一の各アーカイヴでは、毎年この三人すべてにあてはまるテーマを設定し、関係者から寄贈された資料などを展…

ムナーリ展

1月14日(月)、厳しい寒さとなった成人の日、午後から板橋区立美術館の「ブルーノ・ムナーリ あの手この手」展を観に行く。昨年から行こうと思っていた展覧会で、知人からも「よかった。お勧めです」との情報も頂いたので期待していたが、実際に訪れてみ…

忘年会&忘年会

12月某日、心臓の検査のため、病院へ。「リスクがあることは承知しました。万一のことがあっても構いません」という趣旨の誓約書を提出し、心臓の動きを抑える薬を服用。効き目が現れるまで病院内で1時間ほど時間調整した後、処置室に戻り、心臓の血管を…

マイ・フェイヴァリット・シングス

11月某日、午後から渋谷の松濤美術館に行き、"Great Ukiyo-e Masters"展の後期を観る。写楽の「市川蝦蔵の竹村定之進」と並べて展示されていた、歌舞伎堂艶鏡という謎の絵師の絵が興味深かった。写楽の大首絵から輪郭を取り除いたような奇妙な絵。見たのは初…

詩と詩論

11月某日、浜松町の横田茂ギャラリーを再訪。岡崎和郎展の最終日で、岡崎さんにお会いできるかと思っていたが、「昨日お見えになりましたから、今日はいらっしゃらないかも・・・」とのこと。楽しみにしていたのに、少しがっかり。 応接で美術家野村和弘さ…

有楽町・横浜・六本木

10月某日、有楽町の出光美術館で「仙崖・センガイ・sengai ― 禅画にあそぶ ―」展を観る。仙崖の書画は、この美術館の創設者が最も愛した美術品で、その最初と最後の収集品も仙崖だったそうだ。総数は1000点以上に及び、この美術館の膨大な蒐集の中でも中核を…

閑中忙あり

6月某日、微熱が続くので、近所の医者に行く。アレルギー性気管支炎で「しばらく安静にしていなさい」とのこと。5月の京都旅行が少し強行軍だった上、京都から帰って始めた肉体労働(?)の過程でカビの胞子を大量に吸い込んだためらしい。その後、半月ほ…

発表とお花見

4月1日(日)、晴れ。お花見日和の暖かい一日。静岡では30度を超えたそうだ。一昨日あたりから花粉がきつく、目が痒くてたまらない。今年は花粉症が始まったのが1月末だったから、もうそろそろお終いのはずなのだが・・・ 3月24日(土)、駒場の某所で戦前…

毎年恒例の・・・

2月20日(火)。小雨。天気予報では晴れて暖かくなるはずだったが、終日、日差しが無く寒かった。だがこれでも平年並みらしい。 今年も毎年恒例の、といっても花粉症ではなく、数字合わせの作業の季節となった。昨日からパソコンと格闘しているのだが、なかな…

失われた月報を求めて

2月2日(金)、晴れ。久しぶりに木枯らしが吹き、寒い一日。先週の土曜日(1月27日)、早稲田で開催された某研究会に出席するため、少し早めに家を出て、途中、恵比寿の写真美術館で細江英公展を観た(名古屋の某美術館の館長さんとばったり会って、ご挨拶し…

初夢の話

1月2日(火)。曇り。明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 縁起のよい初夢としては、「一富士、二鷹、三茄子」ということになっているようだが、この初夢とは、元日の朝ではなく、元日の夜から二日の朝に見る夢のことら…

散開・打ち上げ

12月17日(日)。曇り。昨日は午後から東京に出かけ、四谷の某所で開催された会合に出席した。7年間続いたこの会も、幹事役の先生方や(私以外の)メンバーが多忙になってきたため、ついに最終回となった。(昔のYMOに倣えば「散開」か) 今日は1980年代につい…

忘年会など

12月9日(土)、昼前から小雨。寒かったが午後から外出。まず三田の「ノートする四人」展を再訪、瀧口修造の書き込みをもう一度確認する。会場に顔見知りのスタッフが居たら、『星と砂と 日録抄』の八つ折りの形態の件を訊いてみようと思っていたが、学生ア…

103YEARS,EVEN!

12月7日(木)、曇り。午後から三田まで出かけ、慶応義塾大学デジタルアーカイヴ・リサーチセンターおよびアート・センター主催の、アート・アーカイヴ資料展「ノートする四人 ― 土方、瀧口、ノグチ、油井」を観る。実はこの展示は、先週の土曜日(2日)にも…

「ミュージアム 拓く」?

こういうタイトルの記事が先週の日本経済新聞に連載されていた。この連載は、前にコメントした「美術館の実力調査」と一体のもので、熊本市現代美術館、砺波市美術館、ふくやま美術館、水戸芸術館、神奈川県立近代美術館の5つの公立美術館を採り上げ、その…