少々腹の立つこと

2月1日(金)、午後から出かける。まず竹橋の近代美術館の資料室へ。先日できなかった調べ物。資料自体は簡単に出てきたが、コピーがやっかいだった。コピーの前に、申請書を記入してチェックを受けなければいけないのだ。著作権の関係から資料全頁のコピーが認められず、「一部にしてください」とのご宣託。しかも、結局は自分でコピーすることになるのだ。これで1枚30円は、どう見ても奇妙な価格設定だと思う。ガソリンと同じように、搾り取れるだけ搾り取れというわけか。

その後、茅場町のタグチ・ファインアートで「チェン・ルオビン ― 色彩の思考」展を観る。カラー・フィールド系の、しかも明るい色彩のタブロー(原色も多い)。残像が目に残るほど刺激的だが、それが不思議な快感を伴う。しかも常に何色かの色彩が重ね塗りされているため、実に微妙なテクスチャーだ。グレーを使った作品も多いが、原色と並べて置かれているため、他の色を帯びているように見える。
頭の中に光と色のシャワーを浴びるような感じがして、先ほどの不愉快な気持ちが洗われていった。中国で制作しているまだ30代の作家だそうだが、ただものではない。「蔡國強の次はこの人」という一部の声も、あながち大げさではないかもしれない。
http://www.taguchifineart.com/installations/CRBinst4.html


夕方、珍しく携帯に電話が架かっていたのに気がつき、誰からか訝しく思いつつ折り返しの電話を入れてみると、来週の会合のために予約していたレストランからだった。「輸入食材の価格高騰に伴い、2月からすべてのメニューを値上げさせていただくことになりました。ついては、先日承りましたランチのご予約も、値段を上げさせていただきたいのですが」という。
「とんでもない。そもそも予約したときに<予約はこの値段のメニューから承っております>と言ったのはそちらの方ではないですか。」というと「そうですか。では今回は特別に、前の値段でご用意させていただきます」などという。「失礼な!もう結構、キャンセルします」と思わず怒鳴ってしまった(私としたことが、まだまだ修行が足りないようだ)。テレビや雑誌で紹介され、人気が出たのでいい気になっているのだろうが、こういう態度はやはり思い上がりで、料理やサービス以前の問題だろう。


2月2日(土)、午後から神奈川県立近代文学館まで出かけ、目下開催されている「『食道楽の人』 村井弦斎」展関連企画の記念講演、ノンフィクション作家黒岩比佐子さんによる「『食道楽』と日露戦争」を聴く。明治期のベストセラー『食道楽』やその後の英文小説「HANA」など、村井弦斎という作家の仕事についての、実に内容豊かで今日的な意義のある講演だった。講演後、列に加わり著書にサインを頂いた。
その後、みなとみらい線東横線経由で神保町まで出て、T書店でこの講演のことなどをしばらく話し込む。さらに東京堂に寄り、最近出版された三省堂『現代詩事典』をチェック(記載者によって各項目にバラつきがあるそうだが、確かに瀧口修造の項など「ひどい!」の一言)。学士会館で夕食にして帰宅。