源氏物語の1000年

selavy2008-08-31

このところ豪雨と雷が続き、家に籠もってばかり。出掛けるのも、買い物か散歩、せいぜい地元の図書館くらいで、この日記を更新するのも1週間振りになってしまいました。

8月29日(金)。図書館に寄った後、夕方から知人と落ち合い、横浜美術館の「源氏物語の1000年」展のオープニング・レセプションに出席。来賓に皇族の女性を迎え、主催者の美術館館長、放送局会長、関係者として地元の市長などが挨拶。その他、協賛の会社の役員も紹介された。(進行役はその放送局のアナウンサーだ。)
テープカットも無事終わり、ようやく内覧となった。冒頭に有名な伝狩野孝信「紫式部図」が展示され、さらに国宝「紫式部日記絵巻」(右上図。9月6日までの展示)、国宝「御堂関白日記」、国宝「金銅藤原道長経筒」と続く。このあたりはいずれも源氏物語の成立に因むか、または1000年紀の根拠となっているものだ。
その後、展示は伝藤原行成「倭漢抄」、同「亀山切」、伝紀貫之「高野切」、伝紫式部「久海切」などの断簡・軸や、この物語の様々な写本(陽明文庫、大島本、河内本の3系統)、さらに研究・注釈書、江戸時代の様々なパロディ本などへと続く。
もちろんこの物語をモチーフとする屏風、絵巻、画帖、断簡や、紫式部観月図などの肖像画も多数展示されている。宗達(工房)の「源氏物語図屏風残闕」もよかったが、やはり岩佐又兵衛「和漢故事説話図」の「須磨」「浮舟」の2点が凄かった(これも9月6日までの展示)。小品だが、登場人物の心理まで伝わる筆の迫力は恐ろしいほどだ。
明治大正期の画家の作品や、この物語の現代語訳、英訳本、果ては瀬戸内寂聴の肉筆原稿まで展示され、総数は140点にも及ぶらしい。国宝・重要美術品の点数も、この美術館開設以来、最も多いそうだ。世界最古の小説の1000年紀記念展なのだから、そのくらい当然だろう。テクストの成立・受容・伝承・変容、偽テクストの出現、主人公、作者、各帖のタイトルなどなど、物語論の上でも実に多彩な角度から見ることができる。まさに興味の尽きない展示だ。図録を読み直して、また見に行くことにしたい。
一階の奥の会場で、冷たい紅茶とお菓子をいただきながら、何人かの知り合いと挨拶した後、館を出て、知り合いが贔屓にしている中華街の店で夕食に。海老とイカのチリソースなど、柔らかくジューシーで、絶品だった。
(このレセプションの模様は、主催者に加わっている放送局のニュースで取り上げていたが、自分で主催しておいてニュースで報道するというのは如何なものか。しかも、自分のところの会長が挨拶する姿ばかり映している。こういうのは、「ニュース」でなく「お知らせ」として、ニュースと区別して放送するべきだろう。見識が疑われる。)

8月30日(土)。夕方から高校の同級生と暑気払い。あいにくの雨模様となったが、茶豆、焼き海苔、京野菜のお浸し、地野菜のサラダ、自家製薩摩揚げ、汲み豆腐などを酒肴に、ビールと焼酎の蕎麦湯割り。今年の異常気象、政局の動向、他の同窓生や教師たちの消息などを話しているうち、2時間ほどが経過。時間厳守・2次会なしの原則に従って、きっちりお開きとする。帰り道も激しい雨にたたられ、靴の中までびしょ濡れとなってしまった。