富山から東京へ

selavy2008-10-23

10月19日(日)、朝、ホテルを出て富山駅からJRで隣の呉羽駅へ。駅から12〜13分ほど歩いて、大塚という集落を訪ねる。ここの龍江寺というお寺に、瀧口修造のお墓があるのだ。お参りをするときにはいつも、瀧口の生家の跡地にあるスーパーで生花を買い、表の自動販売機でタバコを買うことにしていたのだが、今回訪ねてみると、スーパーはすでに取り壊され、跡地が整地されて5区画に分けられていた。お供えは、お寺の近くの生垣から頂いたピンクの薔薇一輪となってしまった。「Rrose Selavy」と裏に彫られた墓石に水を掛けたり、雑草をむしりったりして、しばらく佇んだ。

呉羽駅まで引き返し(日光が正面から指して眩しく、また暑かった)、再びJRで富山に戻る。昼食を近代美術館の喫茶コーナーで食べることにして、バスに乗り、10分ほどで美術館に到着。ちょうど企画展の狭間の時期に当たり、喫茶室は開いていなかった。仕方ないので近くのコンビニでサンドイッチと缶コーヒーを買い、美術館のロビーで頂く。その後、常設を見ることにする。ここの「近代美術の流れ」の常設展はなかなか粒がそろっている。また瀧口修造コーナーの常設もあり(写真上掲)、ちょうどデュシャンから命名されて贈られてきた「Rrose Selavy」のサインを凸版に起した銅製のプレートなどが展示されていた。

その後、近くの某所で開催された研究会に出席。今回は『シュルレアリスムの哲学』の翻訳者である内田洋先生による「『瀧口修造の詩的実験』を読む」という発表。出席者は20〜25人ほどで、若い人の姿も見かけた。活発な(鋭い)質問も出て、いろいろ示唆を受けた。
発表後、有志10人ほどで懇親会。会場は出席者の中の一人が市内で営んでいる喫茶店で、天井が高く、壁にはサム・フランシスの版画が掛けられ、入り口脇の書棚にはオーナーが訪れた全国各地の展覧会のカタログなどが収蔵されている。実にシックで、しかも居心地のよさそうな空間だった。3時間ほどでお開きに。高速バスで金沢に帰るという内田先生をバス停までお送りし、その後、出席者の一人に車でホテルまで送ってもらった。


10月20日(月)、朝、ホテルでテレビを見ていると、昨日の会の出席者の一人から電話があり、すぐ近くの県民会館で「越中文学展」が開催されていると教えてくださった。瀧口修造についても展示があるという。早速行ってみると、この企画展は、北日本新聞が連載記事で紹介した、富山を舞台にした文学や富山出身の文学者の著作を、実際に展示するもので、瀧口についてはミロに関する著作、詩画集を中心としたものだった。44人にも及ぶ文学者にほぼ均等のスペースを割いてあるので、展示内容に少しばらつきがあるようにも感じられた。

ホテルに戻って預けていた荷物を受け取り、駅に行く。10時半初の東京(池袋)行き高速バスに乗る。3列シートの一番前の真ん中の席が取れた、前方への眺めがよく、足元もゆったりしていて快適だった。途中で3回ほどパーキングエリアに寄り、夕方池袋に到着。JRで横浜に戻る。