年末の挨拶

12月26日(金)、午後から横田茂ギャラリーの村上友晴展を見に行く。「マリア礼拝堂」と題された展示。iconとされる油彩5点、pietaとされる鉛筆画5点と、点数は多くはないが、倉庫の一角の大きなフロア全体がまさに礼拝堂と化していた。
横田さんと村上友晴の作品や来年の岡崎和郎展のことなどを話す。しばらくすると鎌倉の有名な額装店TアートのIさんも来廊された。来年の予定などを話す。年末の挨拶をして、ギャラリーを後にする。
JRでお茶の水駅に出て、神保町へ。某T書店に行き、先日の一人展のことなどを話す。私が買った堀口大学上田敏の本のことを話すと、棚から在庫を取り出して見せてくれた。こちらの方が状態はよかったが、2冊とも半値以下で入手できたことが判明。「それはいい買い物だったね」と言ってくれた。
ちょうどそこへ「先日電話した三重の者ですけど・・・」と、若い女性が店に入ってきた。「父の蔵書を処分したいと・・・」「ああ、あのT市にお宅があるという、あれはあなたでしたか」と、打ち合わせがはじまったので、年末の挨拶をして店を後にする。
新刊書店を覗いて、6時前に某M翁にいくと、店の前に10人ほどの人が立っている。「しまった、出遅れたか」と思い近づいていくと、「準備中」の札が出ている。「変だなあ」と思いながら、ガラス戸を開けて、「今日はもう店仕舞いですか?」と訊くと、中にいた女将さんが恐縮しながら「まことに申し訳ないんですけど、予約のお客さんで席が全部埋まってしまって・・・。すみません」と説明してくれた。
そういえば、この日はこのあたりの小さな出版社や編集部なども御用納めの日だし、ただでさえグルメサイトやグルメ雑誌で紹介されて、人気が出てしまったのだから、仕方がない(こんな日に予約無しで入れると思っている方が、時代遅れか浮世離れなのかもしれない)。だが、15年ほど前から通っている身としては、ふらりと来ても入れた頃がなつかしい。
駿河台下までトボトボと歩いて戻り、讃岐うどんの店で天ぷら盛り合わせとビール。最後に温かいうどんで〆る。これはこれで美味しかったが、やはり一抹の寂しさというか、物足りなさが残った。



12月27日(土)、この日こそ某M翁で年越し蕎麦をと、張り切って家を出る。途中、有楽町の店で無地の日記帳を買う(ネット上で知り合いが紹介していたもの)。銀座まで行き、クドウで洋菓子を買う。歩いて京橋経由、丸の内に出て、Vでフランスパンを買う。
知人宛に速達を出さなければいけないので、中央郵便局で出す予定だったが、前まで歩いていくと、金属製のフェンスがめぐらされていた。何と建替え工事中で閉鎖され、八重洲北口に仮の店を開いているそうだ。
舌打ちしながら八重洲口への通路を捜すと、東京駅も建替え工事中で、資材置き場か何かの仮設フェンスが大きく道を塞いでいる。右に左にうろうろ迷い、駅前のロータリーを大回りして、ようやく丸の内北口から八重洲口側へ抜ける連絡通路の入り口を発見した。
通路の人ごみをかきわけかきわけ、外堀通りの横断歩道を渡って、やっとのことで仮店舗?に辿り着いたが(有楽町駅から1時間以上歩き続けたことになる)、ロビー内は年末なので大変な混みようだ。順番が回ってくるまでさらに10分ほど待たされた。
JR東京駅から御茶ノ水駅に向かう途中、「これでまた某M翁の行列に並ぶとなるとシンドイなあ」と気が変わり、昨日に続いて某T書店に行く。常連さんを交え、国際情勢や政治情勢についてしばらく話し込む。年末の挨拶をして4時過ぎに店を出る。(2日続けて年末の挨拶をするとは、まったくシマラナイ話だ。)
横浜まで戻り、今年の春頃に地元の商店街の真ん中に開店した蕎麦屋に入る。初めてなので、とりあえず天ぷら蕎麦をいただいたが、天ぷらも手打ち蕎麦も悪くなかった(頼まないと天ぷら用の塩を持って来なかったのはいただけないけれど)。これから贔屓にしよう。
何にしても、今のご時勢ではこうして平穏に過ごせ、食べ物にありつけただけでも、良しとしなくてはいけない。ただ来年は、世界も日本の個人的にも、もう少しマシな一年であってほしいものだ。皆様もどうぞよいお年を。