近況(その2)―病院通いと「かんぽの宿」

2月6日(金)最近、いくつかの病院を訪ね歩いていますが、病院によって応対が全く違うのには、驚いています。昨日訪れたところ(かなり大きな民間の総合病院)は、酷かったですね。何よりも受付の女性の感じが悪い。笑顔が無いのは、忙しいのでしょうから仕方ないとしても、パソコン操作ばかりに神経が向かって、患者の方に顔を向けることもしない。挙句の果てには「まずご自分で血圧を測定してください。そこに血圧計が…」と、あごで方向を指示する始末。呆れてしまいました。
診察の前から、「これは期待できないかなぁ・・・」と思っていたら、まさに予感も的中。診てくれたのはこの分野のパイオニアの一人と言われている(かなり有名な)専門医で、説明はそれなりに詳しいのですが、こちらの話に耳を貸そうとしない。せっかく紹介状をもらって出かけたのに、聞きたいこともろくに聞けず、門前払いのような感じでした。しかも、こちらが持参した画像を「これはお返ししないといけないですか?」などと訊いて来るとは、どういう了見なのでしょう。せっかく貴重な時間を割いて行ったのに、まったくの無駄足でした。


ところで話は変わりますが、最近気になっていることの一つに、「かんぽの宿」の売却問題があります。総務大臣が「形だけの入札で、出来レースだ。売却価格も安い!」と騒ぎ始め、マスコミも世論もこのパフォーマンスに乗せられて同調するものだから、すっかり調子づいているようですが、100億円もの値段を「安い」なんていうのは、ビジネスを知らない人の言い草でしょう。
私が最初にこの金額を聞いたときに感じたのは、「へえっ! このご時勢によくそんな高い値段で売れたものだ。買った企業は大丈夫だろうか?」というものです。(普通のビジネスマンなら誰でもそう思う、ごく当たり前の感想だと思いますけどね。)
個別に売ろうとしても、いいところだけつまみ食いされるのは目に見えているわけで、(赤字の事業)全体を一括で処分できて、しかも100億円以上で買ってくれるなんて、日本郵政にとっては願ってもないことのはずです。おまけに、聞けば従業員ごと、つまり事業を継続するのが前提だという。これこそ渡りに船、ほとんど奇跡とも言えるような好条件でしょう。
購入価格が何千億円か知らないけれど、その後、長年使用して、建物の減価償却も進んでいるのだから、購入価格と比べるなんてナンセンスの一言(比べるとしたら売却時の簿価でしょう)。何よりもこの「かんぽの宿」は、毎年40〜50億円もの赤字を垂れ流しているそうなのですから(金額の詳細は不明ですが、70箇所で一箇所あたり数千万円。まあ、ありそうな線です)、1年遅くなればそれだけ赤字が積み重なるわけで、早めに売却処分して本業に集中しようというのは、民間企業の経営判断として、ごくごく当然でしょう。(赤字を出されると、株主である国と国民の財産がそれだけ毀損されるということくらい、小学生でもわかりそうなものですけどね)
問題にしている大臣や与野党の議員さんが世間を知らないのか、あるいは何か政治的な意図があって知らないふりをしているのかわからないけれど、少なくともマスコミ各位は、もう少し世の中のこと(特に経済のこと)を勉強する必要があるでしょう。こんな政治的なパフォーマンスに惑わされて売却手続きや価格を問題にするより、そもそも元の郵便局がどうしてこんな無謀な事業に手を染め何千億円も資金を注ぎ込んだのか、そのこと自体を問題にするべきだと思います。(想像するに、「私の仕事館」や「グリーンピア」と全く同じ構図で、総務省の役人の天下りポストの確保と郵便局職員の退職後の再雇用のためだったのでしょうね。「かんぽの宿」に天下り総務省出身者がどのくらい居るのか知りたいものです)。
売却問題を煽るのは、彼らの地位・待遇を維持しようという目的があるのは、まず間違いないでしょう。また、元の用地選定・購入・工事発注にはおそらく大臣や議員が関与していたのでしょうから、売却の方にも関与して、おこぼれに預かりたいのではないでしょうか。(現に、総務大臣とは別の現職の某大臣は関西の某グリーンピアの売却に一枚噛んでいたはずです)。旧郵便局長・局員の票を狙っているのが見え見えというところも、卑しいですね。(あわよくば国民新党の連中を取り込もうという意図も、ほの見えて来ます)
尻馬に乗って、首相まで郵政4社分割を見直すと言い出したそうですが、郵政民営化と金融再生は小泉・竹中コンビの最大の功績のはずで(もちろんこのコンビの政策にはいろいろ問題もあったでしょうが)、何よりも前回の総選挙で与党が国民の圧倒的な支持を得たのは、郵政民営化を進めるという公約のためだったのだから、これを覆すのなら、それこそ早く総選挙を実施して国民の信を問うべきでしょう。
こんなニュースばかり聞かされていると、こちらの血圧は上る一方です。これじゃあ、頭痛が良くなるわけがないですね。