ケチというか、セコイというか

昨日、世田谷美術館でルソー展を観た後、用賀から電車に乗って神保町まで出た。
T書店を覗くと、ちょうど店主が志賀直哉全集を購入したお客さんと接客中で、その全集を持って帰るか宅配便で送るかで、なかなか話が固まらないようだった。傍で聞いていても、持って帰りたいのか送ってもらいたいのか、どうもはっきりしない。あやふやな話がしばらく続いた後、一旦はそのお客さんが自分で持って帰るということになりかけたが、実はその人が神保町の交差点のすぐ裏に住んでいると判明し、結局、「それなら店の者に届けさせますから」ということに落ち着いた。

その客が支払を済ませて店を出ると、「もっと早く言ってくれれば話が早かったのに・・・。さすが志賀直哉全集を買う人だけあって、口数も少ないや」という。

そこへ店頭の特価100円の文庫本に「領収書を」という客が現れた。店頭の店番に用紙を渡しながら、店主が「ちゃんと金額を入れるんだぞ」と念を押す。「100円に領収書かよ。そういうのに限って、白紙のを寄越せって言うんだよな」と、ブツブツいう。
「そういえば、このあたりで昼飯を食うと、必ず、○○出版宛てに領収書をくれっていう客が居ますね」というと、「そうなんだよ。昼飯代くらい自分で出せっていうんだよな。別に打ち合わせをしてるわけでもないんだろうに、ケチっていうかセコイっていうか・・・。しかも周りに会社の名前が聞こえるように大声で言ったりして、恥ずかしいって思わないのかねえ。ああいうのが『出版文化を担っています』っていう顔をするんだから、ほんとに困ったもんだねえ。」
その流れで話は都知事の四男の「出張旅費」とやらの話に移っていった。こちらは昼飯代どころではなく、当然話も長くなったが、省略。

その後、駿河台下の某画廊に回る。知り合いの三姉妹の展示会で、長女が糸を紡ぎ、その糸を使って三女がセーターなどを編む。そこに付けるアクセサリーを次女が彫金するという分担。三人の息もピッタリだ。かなり前からの知り合いで、毎年この時期に展示会があるが、今年も売約済みの印が目だつ。それぞれの作品の素晴らしさはもちろんだが、三姉妹の人柄のよさも多分に効いているのだろう。