再訪「若冲と江戸絵画」展

先週訪れた展覧会だが、帰ってから図録を見て、あまりに見落としの多いことに呆れはて、再度訪れた。

今回は同行者なしで一人でじっくり見た。お目当ては、前回、今ひとつ気が乗らなかった第4室の展示、つまり屏風などをガラスケースに入れず、照明を変化させる展示である。(これは大変ありがたいことだ。油彩ではない日本画の場合には特にそうだが、ケースなしで展示し、しかも光を変化させるのは、本来は作品の保護・保存上好ましくない。プライス氏の寛大さに感謝しなければなるまい)

集中して屏風に向かうと、前回と印象が全く変って見えた。光の加減でこんなに表情が変わるのかと、驚いた。「目から鱗が落ちるような」とはこのことだろう。

其一の「柳に白鷺図屏風」では、柳の枝が揺れ、白鷺が羽ばたくように見えるし、狩野柳雪「春日若宮御祭図屏風」の、金箔・砂子・泥の表情の豊か多彩なこと! 山口素絢「夏冬白鷺図屏風」の銀箔の涼しさ・冷たさも秀逸だ。守一「扇面流図屏風」は、群青の表情の変化に驚く。

若冲黄檗山万福寺境内図」は夕暮れの光から夜の月光に照らされた情景へと変るし、葛蛇玉「雪中松に兎・梅に鴉図屏風」は雪が舞っているように見える。応挙「懸崖飛泉図屏風」など、実際に霧が濃くなったり晴れてきたりするのだ!

前回は、第3室までで集中力を使い果たしてしまったとはいえ、いったい何を見ていたのだろう。

逆に今回は、第1室から第3室までは、軽く流して見るだけにしておいたが、まだまだ見落としがあるような気がする。あと2〜3回は行かねば!

それにしても、竹橋や三鷹市の展示の方が、私の専門に近いはずなのだが、いっこうに足が向かないのは、どうしたことか…。