イラつく一日

朝のニュースによれば、公務員による飲酒運転事故が全国的に後を絶たない事態に鑑み、ある地方公共団体では、幹部職員に対して飲酒運転防止の研修を行うことにしたそうだ。以後順次、一般職員にも研修対象を拡げる由。全く呆れて、開いた口がふさがらない。

飲酒運転がきわめて危険であり、法律にも違反することくらい、小中学生でもわきまえている一般常識であろう。少なくとも、高い俸給の対象となる貴重な勤務時間を割いて、改めて研修するような事柄ではない。飲酒運転した職員は、片端から懲戒免職にし、その上司の管理責任も厳しく問えばよいだけの話だ。その方がよほど、職場に緊張感が生まれるだろうし、そんな馬鹿げた研修にかけるヒマと余裕があるのだったら、その分、人員削減をするべきだろう。

その地方公共団体の首長さんは、自ら率先して研修導入に意欲を燃やし、記者会見まで行ってこの方針を明らかにしたようだが、職員の資質が小学生以下のレベルであることを、改めて全国に宣伝しているようなものだということに、早く気が付いた方がよいと思う。

夕方、近所のスーパーまで買い物に行く。途中で、お通夜か葬儀か分からないが、喪服を纏った一団に遭遇する。逝く人もいれば生まれてくる人もいるのが世の理だ。スーパーに入ると、今日はいつものBGMに替えて、梓みちよの「こんにちは赤ちゃん」を、壊れた蓄音機のように繰り返し流している。飢餓やエイズやテロや親の虐待などで亡くなる幼児のことを考えると、今日生まれ落ちたすべての新しい生命に等しく、幸多かれと祈りたい。

買い物から戻ると、主に美術系の文献を扱う古書店の目録が届いていた。先ほどからパラパラ捲っているが、「アトリヱ」1937年6月号(特集前衛絵画の研究と批判)に2万円など付けられているのを見つけてしまった。確かに貴重な内容の号であることは認めるが、幾らなんでもねえ・・・。「アトリヱ」は、同人誌などのように部数が限られていた雑誌ではないのだし、物事にはやはり限度というものがあるはずだ。

この店とは開店直後からもう15年ほどの付き合いだが、最近は値段に付いて行けないことが多い。リーズナブルだと思うものは、「抽選」でいつも「外れました」ということにされてしまい、全く買うことができがない。たまには高いものも目を瞑って買わなければいけないのだろうか。しかし、こういう値段で買うことができるのは、身銭を切ることなく、予算などという便利なもので購入できる「公的な」組織だけだろう。その原資はといえば、我々が納めた税金ということになるのだ。まったく嫌になってしまう。世の中の奉祝ムードとは逆に、朝から晩まで、イライラすることの多い一日。