近所のラーメン屋

先月、近所のラーメン屋が閉店してしまった。有名な店ではなかったが、あっさりした魚介系のラーメンと、カリッと焼き上げられた餃子は、なかなか美味かった。3ヶ月に一度くらいは利用していたかもしれない。年配のお母さんと、多分その息子・娘の、三人で店を切り盛りしている様も、なかなか好ましかったのだが・・・。

下ろされたままになっているシャッターには、「6月から駐車違反の取締りが強化され、お客さんが減ったので、閉店します」という趣旨の貼紙が貼られている。だが、実際には、同業者との競争が厳しかったのではなかろうか。隣町には豚骨醤油味で有名な横浜ラーメンの直系の有名店があり、さらにこの春、駅前の商店街に某チェーン店が出店してきたのだ。それほど特徴のある味ではないが、1杯290円と安いので、私自身もそのチェーン店に入ることの方が多くなっていた。閉店されてしまうと、あの味が懐かしくなる。

夕方、散歩を兼ねて、駅前の商店街まで晩のおかずを買いに出かけたら、新しい餃子専門店が出来ていた。といっても、店自体は前からあった古い建物で、お弁当チェーンのような店構えの、持ち帰り専門の店だ。店先のガラス窓から店の中を覗くと、真中の大きなテーブルの上には形を整えたばかりの生の餃子が揃えてある。それを大きなプレートで焼いていくのだ。ついつい釣られて、一人前6個140円を買ってみた。渡されたときによく見ると、作っているのは、何とあの閉店したラーメン屋の兄妹のコンビなのだった。

「おや、ラーメン屋さん! 閉店してどうしているかと思っていた」と声をかけると「ええ、6月からお客さんが減ってしまったものですから・・・。またよろしくお願いします」と言う。

帰宅してすぐ暖かいうちに食べてみたが、以前の店で出していたのとまったく同じで、皮がパリッとして美味だった。これから贔屓にすることにしよう。