5日、王子駅で

「5日、王子駅で」と言っていたのだが、先方の都合で、3日の待ち合わせに変えた。時間と場所さえ決めておけば、あとは携帯があるから大丈夫と考えたのは、少し甘かったようだ。
日頃の謹厳実直ぶりがここでも発揮され、こちらは15分前に駅に到着。ちょうど改札脇にあったベッカースで時間調整をして、5分前には北口改札前に立ったのだが、約束の2時を5分過ぎても10分過ぎても、相手は現れない。携帯で電話してみると、「お客様のおかけになった番号は、電源が切れているか、通話できない地域に・・・」というメッセージが機械的に流れてくるだけ。まあ機械だから、当たり前だけれど・・・
実はここから都電で10分くらいのところにあるお寺さんにお参りしようということなのだが、前にお参りしたのはもう10年ほども前のことだから、JRから都電への乗換えの道もよく覚えていない。確かマクドナルドか何かのハンバーガーショップがあったと思うが、今でもやっているのだろうか・・・
2時20分になったので、「もう見切り発車だ。一人で行こう」と思い、歩道橋を渡って都電のホームに行くと、何と待ち合わせた相手がベンチに腰掛けて、こちらに向かってのどかに手を振っているのだった。
思わず「あれっ、携帯はどうしたの?」と訊くと、「家に置いて来た」とあっさり言われて、こちらは一気に脱力状態に。相手は大塚から都電を使うルートだそうで、「王子駅」といえば都電のことだと思っていたそうだ。こちらは横浜方面からなので、当然JRの駅だと思っていた。「会えてよかった」と、ちょうどホームに入ってきた都電に乗る。
落ち合うのに多少手間取ったけれど、何とかお寺さんにお参りすることができたので、後は「久しぶりだから軽く一杯」と思ったら、近くの然るべき店は、みな「準備中」だった。仕方がないから、一軒だけ営業していた喫茶店で軽く缶ビールを開けて、帰宅した。
同じ「王子駅」でも、話す人によって意味が違うということがよくわかったのは、収穫だった。