OUT OF PLACE

午後から外出、某大学で開催されたシンポジウムを覗く。エドワード・サイードの生涯を巡るドキュメンタリー映画”OUT OF PLACE”を上映した後、監督の佐藤真氏を囲むもの。以前、アテネ・フランセや他の大学でも上映されていたと思うが、私自身は見逃しており、今回初めて観る機会を得た。

ドキュメンタリーというよりロード・ムービーの性格が勝っているようで、シナリオなどを纏めた単行本から想像していたよりも、明るく軽い印象の作品だった。題材や舞台からいって、もっと深刻になってもいいはずだが…。おそらくこれは、絶望的な状況においても楽観的であろうとしたというサイードの立場に、この映画が深いところで応じているからだろう。

シンポジウムでは、パレスチナ難民のキャンプで実際にボランティア活動に従事している女性から、現在の厳しい状況についての説明があった。そういう状況に対して我々が何をできるか、何をなすべきなのかを考える上で、この映画は基礎となるのは間違いないと思う。(今月25日から「ポレポレ東中野」でロードショーが開催されるようなので、まだ観ていない方は是非ご覧下さい。)

かなり突飛な連想かもしれないが、サイードの書斎やお墓が(墓前には大きなオリーヴの樹が生えているのだ)、つい瀧口修造のそれを想起させた。二人の共通点について、少し考えてみたいと思った。