長電話

3月10日(土)、晴れ。春らしい穏やかな一日。先日、飯田橋の本屋さんでコレクターの大先達Kさんの話が出たので、久しぶりに電話をしてみた。(確か年明けに電話をいただいたから、2ヶ月ぶりくらいか)
その飯田橋の本屋さんで買った現代美術関係の稀覯本の話で、ひとしきり盛り上がる。そこから話題は最近手に入れたばかりの魯山人の焼き物へと移り、さらに戦前の某大財閥から出たという木製の筐を買った話や、銀座の某店で本阿弥光悦の消息を薦められている話などへと広がった。相変わらず守備範囲の広い方だ。
コレクションにはアポロ8号だったか10号だったか、月面に着陸したときの飛行士のサイン入りプレートとか、スイス製の高級時計、ドイツ製の万年筆、中国の墨や硯などもあると伺ったことがある。ご本人は謙遜して「僕はダボハゼだから」とおっしゃるが、どうしてどうして、個々の収集品にまつわる話を伺うと、一貫した筋があるのがわかる。
長電話になってしまったので、そろそろ切り上げようかと思い、最後に台湾の故宮博物院の展覧会のことを聞いてみたら、やはり2月にいらっしゃっていた。「改装中からオープンするのを待っていたんだ」。官窯に圧倒された由。
コレクターたるもの、このくらいの熱意と情報量は、当然のことなのかもしれない。