夜明けのコーヒー

9月某日、台風の激しい風雨で眠れぬ夜を過ごした後、いつものように5時すぎに起床。カーテンを開けて表を見ると、まだ風雨が強かった。お向いの家のテレビアンテナが、またしても強風に煽られて傾いている。「またしても」というのは、このアンテナ、2年前の台風のときにポキリと折れたことがあるからだ。今回の風はあの時ほどではなかったようだ。ベランダには大量の木の葉が吹き寄せられている。後で掃除をしなくては。テレビを点けると、いまだに暴風圏内だし、交通機関のダイヤはひどく乱れるようだ。朝の通勤は、さぞ大変なことだろう。何はともあれ、朝のコーヒーだ。お湯を沸かして淹れる。こんな朝は散歩どころではない。テレビを消して、マグカップを傍らに、しばらく瞑想する。
昼頃には雨も上がり、うす曇のとても蒸し暑い午後となった。夕方、散歩を兼ねて二駅ほど先のスーパーまで買い物に出かける。最近、このスーパーの近くの喫茶店で販売しているコーヒー豆が、なかなか良いとわかったのだ。ブレンドに力を入れているようで、5〜6種類もあるのだが、ストレートも10種類くらい置いている。
この店を発見する前は、某有名店の豆をネットで注文していた。この有名店は、最近の業界のトレンド、つまり豆の産地を(国レベルでなく)農園レベルまでこだわるトレンドのパイオニア的存在の店で、世界各地の農園を実際に見て歩き、お眼鏡にかなった農園から直接買い付けているらしい。もちろん豆自体の品質は高く、トレーサビリティも万全で、焙煎も申し分ないのだが、その分、値段が少し高い上、送料もかかる。送料無料は合計4200円以上からだ。これは大体4種類で各200グラム、合計800グラム以上に相当する(菓子などを併せて注文してもよいが、これも良い値段だ)。800グラムとなると、いくらコーヒー好きでも、よい状態で保存して使い切るのはなかなか骨が折れる。
ところが発見した近所の店なら、その有名店の8割程度の値段で、送料もかからないし、豆を直に見て選ぶことができる。しかも100グラム単位で販売しているので、4〜5種類の豆を100グラムずつ買っておき、気分に合わせて淹れることができるのだ。これはありがたい。最近気に入っているのは、コクのあるグァテマラだ。