スマトラカレーに黒ビール

雨が上がるのを待って、午後から外出した。途中で一軒寄り道をした後、ゴッホ展を観に、竹橋まで行った。連休ももう終わりなので、来ている人も少ないだろうから、夜の部だったらゆっくり観られると思っていたのだが、見事に裏切られた。

5時前に着くと、チケット売場の前に長蛇の列が出来ている。唖然としてしまった。連休を海外や田舎で過ごしていた人たちが、昨日までに東京に戻ってきて、GW最後の週末の夜を美術館&外食で、と考えたのだろうか。それにしてもNHKの動員力はすさまじい。

いくらゴッホ展でも、こんな列に加わってまで観る気はしない。無理して並んだところで、会場も混んでいて展示に集中できないのは、目に見えている。そこで急遽、そのまま神保町の古本屋めぐりをすることにした。

まず某T書店に行くと、珍しく1Fではお母さんが店番をしていた。ずいぶん久しぶりなので、近況をお話しする。健康のことから年金や介護保険の話、さらに食べ物のことや、浅草の美味しいチョコレート屋さんのことなどに展開する。2Fに上がると、弟さんはまだニューヨークに出張中で、アシスタントのAさんが店番をしていた。

その足で、古書会館の前をとおって、BギルドとK文庫に行った。Bギルドの品揃えは、私の関心の分野とかなり重なっている。「この本は確か手放してしまったけど、なつかしいなあ」と思って、美術史関係の本を棚から取り出すと、裏にT書店のラベルが貼ってあった。ひょっとすると、夜逃げの過程で私が手放した本だったのかもしれない。

K文庫は写真集専門で、なかなか充実している。在庫品には、一冊一冊丁寧にパラフィンが巻いてある。その巻き方には何となく見覚えがある。どうやらG堂の巻き方に似ているようだ。G堂ではタイトルがマジックで手書きだが、こちらはワープロで印字した紙を貼ってあるところが違うけれど。店番の女性に聞くと、2年ほど前に開店したのだそうだ。しばらくして若い店主が戻ってきた。何と以前、G堂にいた人だった。「ああ、お久しぶり」と挨拶する。坂本万七の遺作集を買った。

G貿易を覗き(スタンドを買おうか迷ったが、結局見送り)、また神保町側に戻って、ビジュアル本のK(前はM書店にいた人が開いた店)を観た後、さらにS書店に廻った。

7時になったので、そのまま夕食にすることにした。丁度通りかかったK堂が、土曜日なのに開いているようだったので、入ることにした。黒ビールと小サラダとスマトラカレー。以前と変わらない味だ。ここも考えてみると2年ぶりくらいだろうか。なつかしいので、店の人に、前のマスターが健在かと訪ねてみると、「元気でパソコンなどをやってますよ」という。安心した。