小山田二郎展2

昼前に家を出て、東京ステーションギャラリー小山田二郎展に行く。途中、JRの冷房が効きすぎて、東京駅に着くまでに、体が冷え切ってしまった。クシャミが出て困るので、とりあえず、売店でおにぎりを買い、ギャラリーの前の小さな池のほとりで、日向ぼっこをしながら食べることにした。

すると、どこからともなく、スズメが10羽ほど、物欲しげに近寄ってきた。手を伸ばせば捕まえられるくらいの距離まで、平気で寄ってくる。指でご飯粒をはじいて落としてやると、いっせいに群がる。

面白いので、おにぎりを齧ってはご飯粒を撒いて、しばらくスズメと遊んでいたが、そのうちふと気がつき、ご飯粒のついた指をそのままさし出してみた。すると、はじめは警戒し、躊躇していたが、とうとうその中の一羽が、体を伸ばして直に啄ばんだ。嘴のとがった感触がなかなか心地よい。

やがて、おにぎりもなくなってしまったので、ギャラリーに向うことにし、立ち上がって歩きはじめると、先ほどの一羽が、名残惜しそうに、ついてくる。犬や猫ならこういうことは、何度か経験したことがあるが、スズメでは初めてだ。可愛いものだ。

さて小山田二郎展は、予想通り凄かった。少し大げさだが、背筋に震えを覚えるほどだった。10年ほど前に確か小田急でも見ているのだが、こちらの見方が変ったのか、または会場のせいなのか、あの時よりもおどろおどろしさが増しているような気がする。ポスターなどにも使われた「ピエタ」なども良かったが、特に、同じ第二室のレンガの壁面に3点並べられた「鳥女」の存在感は圧巻だった。

岡本太郎でもそうだが、何か不思議な生物がうごめいている画面は、この時期の欧州のシュルレアリスムの、マッタやラムにも通じるところだし、また特に水彩については、北代省三や駒井哲郎などと同様に、クレーの受容という点も考えてみなければいけないだろう。図録ではこのあたりがどう説かれているのだろう。(会場の小パネル説明では、必ずしもこういう捉え方はされていないようだったが)

その後、ある用件を済ませた後、夕方5時頃に、神保町のT書店に行き、店主(と一人の常連さん)とお話しする。今日の話題は七夕の大市のことや、店主が心ならずも関係することになったある係争のその後など。

そこに矢来町の出版社で、全集の編集に携わっておられるお客さんが登場された。非常に博識な方だった。「ひょっとしてマイミクの方かもしれない」と思いはじめたが、比較的早く帰られたので、ご挨拶することが出来なかった。(次回、機会があったら、是非ご挨拶申し上げたい。)