表参道から神保町へ

根津美術館の「明代絵画と雪舟」展を観た。先週の火曜日に行くつもりだったのだが、台風が来たため今日にしたのだ。「四季山水図」、「撥墨山水図」「柳下船遊図」「売貨郎図」など、興味深く観たが、全体で30点(うち雪舟4点)では、やや物足りなさが残った。

ギャラリー360°に寄り、先日の高橋アキさんのリサイタルのことなどをしばらくお話しした。太田記念美術館までぶらぶら歩き、「浮世絵にみる愛されるペット」展を観た。これはかなり見応えがあった。特に北斎の「狆」図や、江戸琳派の画風に入る前の抱一の浮世絵(版画でなく肉筆)など、珍しい作品を観ることができて、うれしかった。

nadiffにも寄るつもりだったが、あまりに暑いので予定を変更。目の前の千代田線に乗って大手町へ行き、三の丸尚蔵館の「官展を彩った名品・話題作―大正〜昭和初期の絵画と工芸」を観た。

その後、神保町に足を伸ばすことにし、三の丸を横断して平川門から出た。皇居の側から眺めると、不二ラテックスのビルの形が、ことさら意味ありげに見えた。

T書店まで行ったが、1Fの店主は仕入れで外出中だった。2Fで一冊買った後、玉英堂をのぞいた。

「さあ!いよいよベルギービールで喉の渇きを潤すぞ!」と思って横断歩道を渡ったら、何と角のところで、ぱらんさんご夫妻とばったり。あちらはこれから出かけるところだったので、今日は挨拶のみ。

BRUSSELSまでたどり着くと、まだ開店していなかった。これは痛かった。ここの白ビールを飲みたい一心で、暑い中を我慢して歩きつづけてきたのだから、疲れがドッと出てしまった。

「仕方ない。昔よく通ったラドリオで、ギネスでも飲むか」と引き返したのだが、入ってみると経営者が替わって、ギネスはメニューになかった。それどころか昔はあれほど充実していた肴も、ナッツ程度しかなかった。ただし、店を変える気力はもはや残っておらず、仕方なくありふれた生ビールを頼んだのだが、出てくるのにえらく手間取った上、ジョッキは冷えてなく、泡までが温かった。昔の行き届いたメニューとサービスがなつかしい。

というわけで、暑い中をあちこち歩き廻ったのだが、疲れたばかりで、充足感のない、後味の悪い一日になってしまった。