おお季節よ、おお城よ!

今日は近所のスーパーの阪神タイガース優勝記念セールだったが、出遅れて、夕方になってしまった。

このあたりは大手スーパーの激戦地区で、ライバル同士の店が三つ競合している。ところが不思議なことに、このうち二つが、今日からこの優勝記念セールを開催しているのだ。まあセールのネタは何でもいいのだろう。

今日はさすがに、どの売場も「六甲おろし」一色だ(だがダイコンは買わなかった。寒い!)。いつもは、売場の品物に応じて、「好きだと言えずに、さよりちゃん♪」ほか、きのこ、おにぎり等々の歌が喧しいのだが。

果物売場を通りかかると、ケースにはカットされたスイカ、ナシ、柿、ミカン、さらには外国産らしいがイチゴまで並んでいる。思わず、「おお季節よ、おお城よ! 無疵な心はどこにある?」などとつぶやいてしまった。

ところが、この続きが浮んで来ない。立ち止まって「何だっただろう」と、考えてみたが、思い出せない。気になるので、レジでお勘定を済ませてから、上の階の書籍売場に行き、文庫本コーナーでランボー詩集を探してみた。残念ながらというか、案の定というか、置いてなかった。

そのまま帰るのも無駄足になるので、つい雑誌をいくつか立ち読みしているうち、すっかり時間を喰ってしまった。思えば、これが敗因だった。

実は手許の資金が乏しくなっているので、帰りにお金を下ろすことにしていたのだが、すでに6時近くになっている。あわてて銀行のATMコーナーに駆けつけると、2台あるATMの前に10人くらいの列ができていた。週末でしかも月末だとはいえ、いままで、こんなことは記憶にない。

どうしたのかと思って見ていると、中年のおばちゃんが2台のうちの1台を占領し、何件もの振込みを続けているのだ。いらいらしてしまったが、どうしようもない。前に並んでいるオジサマと立ち話をしながら、順番を待った。

そのオジサマによると、その女性は保険のおばちゃんで、今月、集金したお金を、契約者ごとに本部に送金しているのだそうだ。6時を過ぎると手数料が余計にかかるので、その前に済ませようとしているらしい。

順番が回ってきたのは、6時3分。手数料を105円しっかりとられてしまった。
私がお金を下ろした後も、隣のATMではそのおばちゃんがしぶとく送金を続けていた。