不思議なことが

不思議なことがあるものだ。
管理人を務めているアンドレ・ブルトンのコミュで、ブルトン研究者であるジョルジュ・セバーグの話題で盛り上がったと思ったら(といっても約二名の間でだが)、当のセバーグ氏が来日して、来週、講演会が開催されるそうだ。
しかも、この情報、今日入手したものだが、これも全くの偶然だ。

あれは去年のちょうど今頃のことだった。早稲田の古本屋街をブラブラ歩いていると、元の職場の先輩に出くわしてしまった。この方、このあたりの学校の卒業生で、どういう風の吹き回しか、母校がどうなっているのか見たくなり、〇十年振りかで、学園祭が行われているキャンパスを訪れたところだったのだ。この人と会うのもたぶん8〜9年振りくらいだろう。

「早稲田に来ることがあるのだったら、一度、飲もう」
と誘われたのだが、「ええ、またいつか」などと、曖昧な返事で、その時はお茶を濁した。元の職場にはあまり好い想い出を持っていないのだ。

現に、元上司2名は、世間を騒がせた挙句、目下、塀の中にいる。下手につながりを復活させると、最後にもう一勝負などと誘い込まれて、そこから足がついた、なんていうことになりかねない(?) 元の職場の人間との付き合いは、最小限にしているのだ。

ところが、物事はそうこちらの思い通りには進まないもので、先月、この先輩から電話が架ってきて、逃げ切れずに、とうとう会う約束をさせられてしまった。それが今日だったのだ。

約束の4時にはまだ時間があるからと、暗い気持ちでキャンパスをうろつき、掲示板を何となく見ていると、なんと「セバーグ氏講演会」などと出ているではないか!

これには、本当に驚いた。何だか自分が偶然の網の目の中に捕えられ、セバーグの作り出す不思議な世界の中に居るような気もしている。