作家とコレクター

午後から外出。まず八重洲ブックセンターで専門書を2冊買う。表が激しい雷雨となったので、そのまま1時間ほど売り場をブラブラ。漸く雨も止んできた3時過ぎに、日比谷まで戻り、ある画廊で開催されていた、コレクターの親睦組織のコレクション展を観る。

この組織は毎月例会を持ち、作家のアトリエ訪問や、美術館巡りなどの堅実な活動をすでに15年以上も続けているのだそうだ。今回の展示は、メンバー各自が自分のコレクションから、これはと思う作品を数点持ち寄るもので、これも毎年恒例のもの。フォートリエ、山口長男、駒井哲郎、若い日本画家、人形、ガラス工芸、さらには幟旗まで、分野もバラエティに富んでいる。

今日が最終日だというので、3階のフロアでは打ち上げパーティが開かれていた。メンバーでもない私が思い切って会場を覗くと、幸いにも会のリーダー氏が(現在の方で3代目か4代目だそうだが)顔を覚えていてくださった。
だいぶ前のことだが、ある画廊で話し込んだことがあったのだ。早速ご挨拶し、近況などを少しお話しした。

会の発起人氏や、歴代のリーダー氏、現在の中心メンバーの順に、1人ずつ挨拶する。コレクションの対象となっている作家を伴って来場しているメンバーも5〜6人おり、作家さんからの挨拶もあった。

非常にそつのない作家さんもいれば、こういう場が初めてらしく、恥ずかしそうにする方もいる。その違いも興味深い。若い作家にとっては、自分の作品のコレクターは、やはり有難いものなのだろう。

ほとんど材料費程度の、額装代を考えると足が出ているかもしれない値段で買っておいて、作家をサポートしているかのような、いかにも恩着せがましい態度をとるのは考え物だが、今日はそういうコレクターはまったく居なかったし、親しいながらも作家さんへの敬意が自ずと態度に出ている。この点も気持ちのよい会だった。

リーダー氏がコレクションしている若い女日本画家さんも来場されていたので、紹介してもらい、少しお話しして会場を後にした。

雷のため山手線が止まり、京浜東北線も大幅に遅れていた。予定より帰宅時間がおそくなってしまった。
川崎の手前の、多摩川を渡る鉄橋の上で、電車の窓から西の空を見ると、どす黒い雲の隙間から一条の陽光がさしていた。印象に残る光景だった。