明日から値上げ

東京・京都・奈良の国立博物館3館の観覧料が、明日10月1日から値上げされるそうだ。例えば、東博の平常展は420円が600円に、パスポートは年間3000円が4000円になる由。かなり大幅な値上げだ。年に4回ほど開催される特別展も、たぶん引き上げられるのだろう。

この値上げの理由だが、世間一般の常識では到底理解できないものだ。この4年間で観覧料などの収入は1.4倍に増加し、17年度には6.8億円になっているそうだが、18年度の目標が(国によって)10.4億円に設定されたため、値上げせざるを得ないというのだ。

収入が増えているのに値上げするというのは、どう考えてもおかしいが、どうやら、収入が増えると、それに応じて国からの補助金(運営費交付金)が減らされる仕組みになっていているらしい。だからその分は、博物館としては不本意ながら、入館者にしわ寄せせざるを得ないということなのだ。(おまけに今後5年間でさらに毎年1%の収入増加と、経費の削減、つまり一般管理費15%、事業費5%、人件費5%の削減が求められているそうだ。)

博物館に観覧料の値上げを余儀なくさせる、このような政策体系は、間違っていると思う。観覧料の値上げが、ただちに入場者数の減少につながるとは思わないが、少なくとも増えることにならないのは確かだろう。独立採算の経営を指向するなら、入場者が増えて増収となった分は博物館側に残るような枠組みが求められるのではなかろうか。増収になると補助金がカットされて全体の収入が変らない(または減少する)というのでは、経営努力の意欲は湧かないだろう。

まあ、こんなことをここに書いても、何の解決にもならないだろうから、旧料金で入館できる最後の日となる今日は、これから上野に行って、また「中国書画精華」展でも見ることにしよう。