Scenery

12月12日(火)。曇り時々雨。今年一番の冷え込みだったそうだ。昨夜から喉の調子がおかしかったが、今朝は痛いほど腫れて、声も出なくなってしまった。午前中、近所の病院に行く。

風邪かと思ったら、医者の見立てはそうではなく、アレルギー性鼻炎の病原体(?)が喉に降りてきたそうだ。鏡を渡され、「ほら、まだら模様に腫れているでしょう。風邪ではこんな風にはなりませんよ」と説明してくれた。5種類の処方薬を早速昼食後から服用し始めた。眠くなってかなわない。

夕方、知り合いの個展を観るため、京橋の画廊に出かける。昨年の暮れにも、ほとんどモノトーンの作品による個展を拝見したが、今回は赤を基調としたものも加わっている。どちらの系統も顔料の結晶が照明に当たってキラキラ輝き、たいそう美しい。作家さんに訊くと、赤色だけでも数十種の顔料を常備しており、その中から画面に応じて使い分けているそうだ。

赤は不思議な色だ。もちろん、おめでたい色だが、生々しい血の色でもある。高貴な明るさや燃え上がるような暖かさがあるが、逆に凄惨な現場に立ち会ってしまったような重苦しさもある。

描かれているのは何かの形態か、あるいはどこかで見たことがある風景や画面ようでもあるが、それが何であるかは決して分らない。いろいろな想像をたくみに誘いながら、あらゆる決めごとを拒絶したところに成立している、精妙で強靭なScenery(「画面」「風景」「光景」)だった。

会場で会った友人の一人と、そのまま丸の内OAZO蕎麦屋に行く(作家さんは先約があるらしかった)。先週の忘年会で訪れた店だが、あのときに注文しなかった天ぷらと地酒を試してみたかったのだ。どちらも申し分なく美味だった。(体調が今一なのが残念だった・・・)