「悠久の美」展など

24日は、太田記念美術館に続いて上野にまわり、東博の特別展示「悠久の美―中国国家博物館名品展」を観た。紀元前4500年頃の彩陶瓶から隋・唐、五代の陶器まで全61点と、点数はさほど多くはないが粒よりの名品ばかり。特に前13世紀から前3世紀にかけての青銅器の精密さ、鋳造技術の高さに圧倒された。唐時代の陶器の方がはるかに単純・素朴に見えた。
前漢時代(前1〜2世紀)の西南地方の出土品「祭祀場面貯貝器」は、30人ほどの群集による祭祀の場面が鋳造された青銅製の器で、ちょうど洛中洛外図を見るように当時の様子がわかり、興味深かった。
向かいのコーナーではニュージーランド先住民族の文化を紹介した「マーオリ 楽園の神々」展が開催されていたので、これも観た。カヌーや建物に施された木彫や鯨の骨の装身具、さまざまな素材のマントなど。ブルトンの書斎のオブジェを想い起こさせた。笛や声による音楽も流されていたが、リズムは完璧にフォービート、ハーモニーも12音平均律によるもので、少し奇妙に感じた。おそらく西洋文明に触れた後のものだろう。1階の喫茶コーナーでお茶を飲みながら、マーオリの人のパーフォーマンスを観る。ラグビーニュージーランド代表チームでもおなじみだ。
常設展「日本美術の流れ」にまわり、正月に続き、等伯の「松林図」などを観た後、さらに東洋館の「抵抗と恭順―明末清初の書人たち」と中国美術「吉祥」を観た。伝馬麟筆「梅花双雀図」や沈銓筆「鹿鶴図屏風」などが印象に残った。
4時半頃に美術館を後にし、神保町のT書店に行った。新年初めてなので1階で挨拶した後、2階に上がった。1940年代に米国で刊行された雑誌《VVV》のことなどを話してから、帰宅した。