芝・新橋・銀座

3月19日(月)、晴れ。寒い日が続いている。土曜は風邪気味なので、家で大人しくしていた。昨日は午後から外出、芝の東京美術倶楽部で開催されていた東美アートフェアの最終日に行く。ある画商さんのブースに、古本画家として高名な、知り合いのH画伯が出品されており、京都から出て来られているのだ。モランディを思わせる静物画。ただ、色彩などはどことなく白樺派のような暖かさを感じる。これもお人柄だろう。

会場を一回りすると、他のブースに三岸好太郎静物画を掛けているところがあった。遺族から出た作品だそうだが、状態もたいそうよい作品だった。板谷波山の焼き物を並べているブースもあったが、手ごろな値段だったためか、大半が売約済みだった。

会場前の喫茶コーナーで画伯お話ししているうちに、17時の閉館時間となった。画伯、画伯のファンのT夫人と一緒に会場を後にし、新橋駅をめざして歩く。日曜日なので、人通りがまばらだ。駅手前のガード下に差し掛かると、一昔前によく見かけた扇情的なポスターが貼られている。何とかロマン劇場というピンク映画の専門館なのだ。まるで20年前にタイムスリップしたような光景だが、うら寂しさも感じた。

その劇場前を素通りして改札までたどり着いたが、画伯は今晩も東京に泊まられるとわかり、「それなら一緒に夕食を」ということになった。銀座4丁目まで歩く。ここでT夫人ご推薦の鰻屋さんに入る。1階のテーブル席に陣取り、御新香に熱燗でしばらく待つことにする。後で聞くと2階の座敷の方が4丁目交差点の様子が見えて面白いそうな。

やがて、焼きあがったばかりの蒲焼を、熱々のご飯に載せたうな丼が運ばれてきた。脂が乗って美味しい。タレはむしろサッパリして関東風の味付けかもしれない。このところ続けざまに美味い鰻にありつけて、実に幸福だ。

あっさり食べ終わってしまったので、店を出て、有楽町まで歩く。数寄屋橋の角では、やはり不二家の話題になった。かなり前から製造ラインに問題があることは解っていたらしい。せっかくのブランドなのに残念なことだ。地下鉄を利用する画伯・T夫人と有楽町駅近くで別れ、JRで帰った。

今日は家で31日の研究発表資料の作成作業。論点を詰め切れていないので、なかなか捗らない。次第に発表日が近づいてきた。これで間に合うだろうか。不安だ