関西旅行(3日目)

奈良国立博物館まで正倉院展を観に行く。朝8時すぎにホテルを出て、地下鉄を烏丸御池で乗り換え、一台乗り過ごして、直通の近鉄奈良駅行きに乗り込む。奈良駅前で知り合い(元の組織の兄貴分)と待ち合わせているのだ。行ってみると親子(父・娘の二人)でいらっしゃっていた。前の晩、子供の躾け方が話題になり、ちょうどこの親子のことも話に出ていたのだが、そんなことはまったくご存知無いと思うと、少しおかしかった。
正倉院展も永徳展に劣らず大変な人出だった。その知り合いは京都でも古い織物関係の家柄の方なので、繊維関係の展示品について解説してもらおうと期待していたのだが、この混雑では、一緒に会場を回るのはとても無理だ。12時に出口で待ち合わせることにして、別々に見て回ることにする。会場が広く、自由に移動できるので、何とかすべてを最前列で観ることができた。個人的には文房具や文書に惹かれた。毎年通う方なら別の見方もあるだろうが・・・。
出口で親子と落ち合って、近くの旅館風のレストランに入り、天丼で昼食にする。天気に恵まれとても暑かったのでビールも注文すると、「そんな風だからいつまでたってもダイエットできないんだよ」と注意されてしまった。その知り合いはこの3年で5キロほど減量したそうだから、これには黙って頷くしかない。
その後、興福寺の国宝館で山田寺の仏頭や八部衆を観る。「秘仏特別公開」と銘うって大圓堂とそのご本尊である秘仏聖観音菩薩立像」も公開されていた。境内では併せて「籔内佐斗司の世界 in 興福寺 ― 興福童子の秋祭り」も開催されている由で、いやな予感がしたのだが、まさに的中してしまった。国宝館の入館料が500円なのに、この内容でプラス500円の合計1000円は、ありえない料金設定だろう。
娘さんに別の予定があるためここで京都に戻るという親子と別れ、まず大仏殿の脇の正倉院本体を見る。せっかく正倉院展に来たのだから、ここは外せない。「校倉造は用いられた材木の膨張・収縮によって湿度が保たれる」との話もあるが、そんなものなのだろうか?確かに通風は良いかもしれないが、少なくとも南倉は日当たりが良すぎて、温度と湿度の管理は大変だっただろう。
大仏殿の裏手の小道を通って上り坂をしばらく歩き、二月堂まで上がる。眺望と風が心地よい。飲み物を求めに休憩所に入ると、ちょうどCDでお水取りの時の声明が流されていた。眼を閉じてしばらく聴く。一度お水取りもじかに見てみたいものだ。続いて三月堂に回り、不空羂索観音立像などを拝む。前回訪れたのは初冬で雨混じりの寒い日だったが、この日は夏のように暑く、お堂の中も明るく開放感があった。やはりその日の天気や気温によって印象は異なるものらしい。
南大門の脇を通って興福寺まで戻り、ちょうど公開されていた北圓堂を拝観する。無着・世親の両像その他を拝見することができた。
近鉄奈良駅まで戻ると、京都行きは運賃の他に500円かかる特急ばかりで、運賃だけで済む急行までかなり時間がある。構内にあるアダルト系じゃなかったシアトル系喫茶店に入り、抹茶フラペチーノで喉の渇きを潤す(ビールに加えこんな甘いものを頼むようでは、確かにダイエットは難しいだろう)。30分ほど時間調整して、急行京都行きに乗り込む。持参した文庫本を開く間もなく居眠りを始め、辛うじて竹田駅で目覚めて、地下鉄乗り換える。三条まで戻り、いったんホテルで一休みしてから、近くの和風レストランで夕食。