忘年会&忘年会

12月某日、心臓の検査のため、病院へ。「リスクがあることは承知しました。万一のことがあっても構いません」という趣旨の誓約書を提出し、心臓の動きを抑える薬を服用。効き目が現れるまで病院内で1時間ほど時間調整した後、処置室に戻り、心臓の血管を撮影する(血管造影剤を注射しながら、撮影機械の中で30秒間息を止めるというもの)
「もっとリラックスしてください。これじゃ脈が速くて、うまく撮影できませんっ!!!」
そんなこといわれても、この撮影機械、両手を万歳するようにした上半身裸の体を、細い移動式ベッドに固定した上で、ドーナツ型の輪の中に運ぶ仕組みになっており、輪をくぐるときには、どうしても体を輪切りにされるような恐怖感を感じざるを得ないのだ。「リラックスしろ」という方が無理だろう。だが、何とか無事に撮影終了。
「薬が残っているうちは、頭痛や吐き気がすることがありますから、あと30分は病院の中で様子を見てください。今日は水分を多めに摂るように。あとは普段どおりに生活して構いません」
「アルコールはどうですか?」
「頭の中の血管も広がっているので、いいとは決して言えませんっ!!!」
頭痛というほどではないが、確かに寝不足か二日酔いの朝のような、いやな感じがする。30分たってもこのいやな感じは収まらなかったが、この日は夕方から、知り合いの画商さんと忘年会の約束をしていたので、そのまま病院を後にし、東京駅近くの居酒屋チェーンまで行く。階段を下りると画商さんはすでに到着されていた。早速ビールで乾杯。続いて刺身、串焼きなどを酒肴に赤ワインを飲む。さすがにあまり量は進まない。バス旅行・京都行きや、永徳・等伯宗達の屏風絵、瀧口修造のデカルコマニーやバーント・ドローイングなどについて話す。
12月某日、午前中、病院に行き、検査の結果について説明を受ける。「結論から言うと、特に問題ありません。これが昨日撮影した画像で・・・」といって見せてくれる「詰まっているところはありません。ところどころ老化のため、細くなり始めていますが、まあ歳相応でしょう。あとは高血圧だけど、これはあなたの場合、減量が一番。それでもだめなら、近所の医者に降圧剤を処方してもらいなさい」とのこと。ひとまずほっとした。
午後から写真関係の研究会に出席。この日はちょうど水道橋のギャラリーで、メンバーである写真家K1さんの個展が開催されているので、自作についてのK1さん自身の解説を聞く形式。同じくメンバーである写真専門の美術館の学芸員K2さんから、なかなか含蓄のあるコメントがあり、さらにギャラリーのディレクターMさんも交えた鼎談になった。写真という媒体や、写真を展示することの奥深さを改めて感じた。瀧口修造にとっての写真の位置づけなどに思いを致し、なかなか有意義な夜だった。研究会後、メンバー10名ほどで水道橋の焼き鳥屋に入り、忘年会。幹事のAさん、一年間ご苦労さまでした。
12月7日、朝、二日酔いで気分が悪い。起き抜けにいつものとおりパソコンを立ち上げ、某SNSを覗くと、「今日は瀧口修造の誕生日です。皆さんでお祝いしましょう」との書き込みがある。これですっかり気持ちが晴れる。
午後、郵便受けを見ると、知りあいの詩人から近著『吉増剛造論』を献呈してもらった。感謝!