両国・水道橋・神保町

12月某日、小学校の同級生Oさんと誘い合わせて、江戸東京博物館北斎展に行く。2〜3年前に東博で開催された北斎展が記憶に新しいが、今回の展示の目玉は、シーボルト旧蔵で今はライデン民族博物館とフランス国立図書館が所蔵する北斎工房(北斎・応為・弟子たち)の風俗画約40点。当時の武士や商人・農民の姿が鮮やかな色彩で描かれていた。(フランス国立図書館所蔵品は作品の中に蔵印が押されたものも多く、絵画というよりは資料の扱いをされているのかもしれない。)これ以外に、富嶽三十六景、諸国瀧巡りなどの有名作品も、もちろん展示されていた。
博物館を出て両国駅から水道橋駅に戻り、M翁で昼食にする。すでに1時をかなり回っていたので、すぐに座れた。Oさんは普通の海老・穴子の天ざる、こちらはホタテと芝海老の天ざるをいただいた。いつもながら大変美味しかった。隣の席で湯葉豆腐を酒肴に生ビールを飲んでいた男性は、白子の天ざるを注文していた。
店を出て、ここ数年この一角に増えてきた古本屋を覗きながら、駿河台下に向かってブラブラ歩く。Oさんは近くの某大学の卒業生なので、錦華公園なども懐かしんでおられ、当時の想い出話をしてくれた。ブラッセルズの手前でT書店の奥さんとばったり出会ってしまい、若干慌てながらご挨拶した。信号を渡り、三省堂の裏手の路地を抜けて、すずらん通りへ。書肆アクセスの跡に別の書店が開業しており、店頭にはお祝いの花が飾られていた。入り口上部の庇に「書肆アクセス」の古びた表記が残っているのが何とも侘しかった。
タカノの前で「紅茶にしようかコーヒーにしようか」と尋ねると、「コーヒー」とのリクエストなので、「さぼうる」に行くことにする。1階のガスストーブ暖炉の前の席で、ホットコーヒーを飲みながら、同級生たちの噂話などをしているうち、3時を回った。Oさんと別れ、T書店へ。店主と稀覯本のことなどを話す。三省堂に寄ってから帰宅。