eyewitness

2月21日(木)、午後から外出。浜松町の横田茂ギャラリーで、東京パブリッシングハウス(TPH)から最近刊行されたポートフォリオを観る。ひとつは大辻清司「eyewitness」、もうひとつは吉田克朗・安斎重男「KATSURO YOSHIDA Installation 1969-1970」
「eyewitness」は、マット装された53点の写真を箱に収めたもので、この中から20点ほどが展示されていた。若き日の実験工房武満徹松澤宥など、見覚えのある写真がセレクトされており、懐かしさを覚えた。美術館などから注文が相次ぎ、すでに完売間近だそうだ。後焼きとはいえ、大辻さんの写真が1枚3万円で手に入るのだから、これは当然だろう。
「KATSURO YOSHIDA Installation 1969-1970」は、1990年代に早逝した吉田克朗のインスタレーションの写真(安斎重男撮影)を、スキャンしてゼログラフィーでプリントするという、興味深い(ある意味で贅沢な)プロセスで制作したもの。ガラスや床に反射する光や元の写真のグラデーションがうまく再現され、一見すると印画紙に焼かれた写真のようにしか見えない。しかしよく見ると、当然のことながら印画紙ではなく、濃淡の粒子が(肌理とも言える)が若干粗く変調されていることが判る。この写真と複製との隔たりの感覚が面白かった。
ギャラリーにはちょうど先日の最終講義でお目にかかった某大手印刷会社の方も来訪されていた。横田さんとの話しに入れていただき、美術コレクションやアーカイヴの体制、さらにはエフェメラなどの資料収集、シンポジウムの運営などについて、しばらく歓談。TPHの目録を頂いて、ギャラリーを後にした。
JR御茶ノ水駅経由、神保町に出て、T書店に行く。しばらく瀧口修造のことなどを話す。その後、九段下の某所で開催された写真関係の研究会に出席する。今回は写真美術館のKさんの講義。内容は、ハリー・キャラハンの4冊の写真集を題材に、印刷技術の変遷と写真集のなかの白の表現について。長く研究されてきた方の話は説得力がある。最近の写真集の復刻や日本の1970〜80年代写真集の価格高騰の背景などについても、興味深い話をうかがった。
この週末は、岩手から古い友人とそのご家族が来訪されることになった。ついでに近所をご案内する予定。3月の発表が迫っているが、何とか無事乗り切れるよう、祈りたい。