ジョビンとジョアン

5月4日(日)、パソコンに向かって資料作りをしながら、FM放送の特集「今日は一日、ボサノバ三昧」を聴いている。美術館・画廊や古本屋さん巡りもいろいろ刺激を受けるが、たまにはこういうのんびりとした日も、よいものだ。時間がゆったりと過ぎて行く。(まあ、私の場合、時間がゆったりと過ぎるのは、毎日のことだが・・・。)
いつも日曜日に聴くのは、はかま満緒が司会している「日曜喫茶室」か、松尾貴史の「トーキング・ウィズ・松尾堂」だが、こういう特集があるときはお休みとなる。その時も、気分が換わるので、なるべくFMを聴くようにしている。(「日曜喫茶室」をよく聴くといっても、駄洒落を連発する女性が「常連の客」として出演するときには、白けるので聴かない。はかま満緒自身、駄洒落を嫌っていたはずなのだが・・・)
確かジャズのライブに通うようになったのは、こういう特集番組のゲストとして出演した、クラリネット奏者北村英治と仲間たちの生演奏の放送を聴いてからだった。それまでは「ジャズといえばマイルスやコルトレーン」と思い、LPばかり聴いていたのだが、その番組で北村英治の素晴らしい演奏と軽妙な話術に触れて、すっかりファンとなってしまい、日本人によるライブの楽しさに目覚めたのだ。(確かトランッペット・光井章夫、テナーサックス・尾田悟、アルトサックス・五十嵐明要、ベース・池沢ゆきお、ピアノ・秋満義孝、そして何よりドラムス・故須永ひろしなど、超豪華オール・スターズだった。)
その後、好みはピアノの辛島文雄板橋文夫佐藤允彦や、とりわけパーカッションの富樫雅彦などへと変わって行ったが(そして、この流れの果てに山下洋輔のエッセイにのめりこんだのだが)、銀座、新宿、横浜のライブハウスに通うようになったきっかけは、北村英治だった。たまたまあの番組を聴くことができたのは、まことにラッキーだったと思う。今回のボサノバ特集でも、守備範囲が広がるといいのだが・・・。(ジャズとボサノバは親戚のようなものだから、あまり広がることにはならないか)
綾戸智恵の存在を知ったのも、確かこういうジャズの特集番組だった。司会の児山紀芳がゲストとして招いたのだったと思う。初めて聴く歌手だったが、児山紀芳が呼んだだけあって唄が素晴らしいのはもちろん、大阪弁を駆使する独特のキャラクターにすっかり魅せられてしまった。
その直後に綾戸智恵は大ブレークし、チケットもすぐに売り切れる状態となり、長いことライブを聴く機会がなかった。乳ガンを患っているという話も伝えられたので、一度、聴いておかなくてはと思い、かなり苦労してチケットを手に入れ、よみうりランドまで出かけものだ。期待に違わず、ライブも素晴らしかった。もう8〜9年前になるだろうか。
その後も、NHKの朝の連ドラに出演するなど、お元気に活躍中なのは喜ばしい。ご自身の離婚とか健康とか、母親の介護とか、いろいろ苦労を重ねてきた人だが(一部には不幸を売り物にしていると批判する向きもあるが)、表情にあまりに出さないところがよい。
さてこれから関西旅行の準備をしなくては。