茅場町・早稲田

selavy2008-12-08

12月5日(金)、天気予報によると、夕方から激しい雨になるとのことだったので、午後早めに家を出る。まず茅場町のタグチ・ファインアートに行き、韓国の若手作家キム・テクサンkim taek sang の「hue of wind(風の歌)」展を見る。この作家は2年ほど前にも見たことがあるが、今回は新作展だ(右図)。

色を重ねた跡や、カンバスのマージンが意図的に残してあり、前回よりもさらに透明感が増している。月並みな比喩だが、まるで宝石のようだ。平面なのに画面に奥行きがあるように立体的に見える。中西夏之などもそうだが、透視図法・遠近法に拠るのでなく非具象的な平面上で、画面にこういう奥行きを実現するのは、凄いことだ。先立つものさえあれば是非手元に置きたいところだが・・・。

http://www.taguchifineart.com/installations/KTSinst2.html

階下の森岡書店に寄ると、客は誰も居らず、留守番の女性Oさんが一人でいた。斉藤周さんという、北海道在住の作家さんの展示作品を説明してくれた。写真用のパネルに白や淡い色調の絵の具を塗った小品を、壁面や床にまで展示している。至るところからゲリラのように作品に襲撃されるような感じだ。展示には時間がかかったと思うが、この店の空間に合っていて実に面白い。
しばらくこうした感覚を楽しんでいると、突然、窓ガラスが音を立て始めた。大粒の雨がガラスを叩く音だった。窓越しに稲光が光り、雷鳴もとどろいた。ちょうどそこへ森岡さんが帰店された。表は激しい雷雨だそうで、ジーンズの裾が濡れている。

小止みになるのを待って店を出、東西線で早稲田へ。このあたりの某所で夕方から開催される小さな研究会に出席する。この日はレポーターだ。瀧口武士と西脇順三郎について少し報告する。他のメンバーは皆、大学の講師と院生で、わざわざ名古屋や長野から出て来る人もいる。突っ込まれるかと心配していたが、それなりの準備はしたので、何とか発表を終える。
研究会終了後、出席者全員で近くの飲み屋に繰り込み、焼き鳥、シューマイ、湯豆腐、刺身などを酒肴に日本酒の熱燗。発表の重圧から解放されてかなり飲んでしまった。最後、焼きソバで〆る。大手町まで戻り、東京駅から東海道線で帰宅。「ムーンライトながら」の出発が遅れたとのことで、そのシワ寄せで普通電車まで遅れる。これなら京浜東北線の各駅停車で帰ったほうが早かったかもしれない。何とか家にたどり着いたのは1時近く。

寝る前にパソコンでメールをチェックすると、「例のフランス人の先生が7日の日曜の午後をご希望なので、よろしくね」とのメッセージが・・・。
一気に酔いが醒め、おまけに夜中、激しい腹痛に見舞われてしまった。