LPジャケットのデザイン

今朝の新聞広告で、雑誌が「ジャズのデザイン」という、LPジャケット・デザインの特集を組んでいると知り、午後から書店に出掛けた。

「英国ジャズマニア2人が厳選した、ジャズ黄金期の名作ジャケット」とタイトルされて、ブルーノート、プレスティッジなどのジャケットが紹介されている。

もちろん、コルトレーンの「ブルー・トレイン」、MJQの「ジャンゴ」、ソニー・クラークの「クール・ストラッティン」、レッド・ガーランドの「グルーヴィ」、オーネット・コールマンの「フリー・ジャズ」などなど、誰が選んでも選ばれる、定番中の定番も入っているが、この特集で初めて見るものも多く、なかなか楽しめた。

特にジャズマンの肖像写真を用いているジャケットのコーナーは、みんなカッコよく、いい顔だ。見応えがある。

ジャズの限らず、LPのジャケットは、それ自体がひとつの主張だった。気に入ったLPを抱えて歩くのは、自分がそういうLPを聴くような人間だと示すことだったのだ。

粟津潔の語るところによると、瀧口修造にもこんなエピソードがある。ある日、粟津潔の仕事場に瀧口さんがふらっと立ち寄り、「粟津君、これどお?」と、小脇に抱えたLPジャケットを見せてくれたのだそうだ。そのLPは、ジョンとヨーコの「トゥー・ヴァージンズ」。

確かジャケットには、二人の無邪気な生まれたままの姿の写真が用いられていたが、当時では、スキャンダラスという受けとめ方をされていたように思う。もちろん、そういうジャケットのLPを持ち歩くのは、2人への共鳴がないとできないことだろう。

今はCDになってしまったから、こういう場合でも、小脇に抱えて、という訳にいかない。鞄の中に入れて持ち歩くものだし、鞄から引っ張り出して、「これ、どおっ?」と指でつまんで差し出しても、あまり様にならないだろう。最近、紙ジャケットのCDもかなり出回っているが、LP世代から見ると、むしろ悲しくなってしまう。

持っていたLPは、ジャズもロックもクラシックも、すべて夜逃げの過程で手放してしまったのだが、こういう特集を見ると、また買い戻したくなってくる。