マルチプル・ショー at 町田

町田市立国際版画美術館の「マルチプル・ショー デュシャンからリキテンスタインへ」に行ってきた。初めてなので道に迷わないか心配だったが、マイミクかのさんに道筋を教えてもらったおかげで、無事たどり着けた。

梅雨明けを思わせる強い陽射しのなかを、15分ほど歩いて咽喉が渇いたので、まず喫茶室に行き、アイスコーヒーで一息つく。大きな窓から見える、芹ヶ谷公園の緑や、水遊びをする女の子の姿が、涼しげで気持ちよい。メニューには早くもカキ氷が載っていた。

喫茶室を後にして、今回の展示を企画された学芸員のTさんをお訪ねすると、初対面かつアポなしだったのに、快く応対して下さった。デュシャンのことや瀧口修造のことを少しお話しした。

展示は、デュシャンの『グリーン・ボックス』や「トランクの箱」から始まり、ラウシェンバーグ、オルデンバーグ、リキテンステインなどへと至るもので、それほど点数は多くないが、マルチプルの流れが辿れて、なかなか好ましい。ウィリアム・コプリーが編集した作家たちの67点のマルチプル・セット“S.M.S"全6巻は初めて見るものだ。全体を通じて、米国の作家にやや比重がかかっているようだが、これもマルチプルのある側面に根ざすものだろう。

図録は箱入りのハードカバーで、絵本のような造本。これまた好ましい。富山県立近代美術館学芸員杉野さんによる、マルチプルと瀧口修造に焦点をあてた論考も、なかなか力作だ。

確か今日が最終日のはずだが、観衆はそれほど多くはなかった。せっかくの好企画なのに、もったいない。常設展示室では「版画いろいろ 第一期」、小特集「三代歌川豊国」。これもいい展示だった。