「暦象」瀧口修造特集号

数日前、ある古書店の目録に、雑誌「暦象」の第92集(暦象社、1979年12月)が載っていることに気付いた。目録が到着してからかなり日数が経っていたので、もう売れてしまっただろうとは思ったが、ダメモトで電話してみると「まだあります」とのこと。本日、無事、到着した。

この号は、発行年でお気づきの方がいらっしゃると思うが、同年7月に亡くなった瀧口修造の追悼特集号である。瀧口を特集した雑誌の中では、唯一入手できていない雑誌なので、かなり前から、是非とも欲しいと思っていたのだ。(そうそう、数年前の「現代詩手帖」も瀧口修造の生誕百年にちなんで特集を組んでいたが、これは中身がかなりお粗末なので、あえて持たないことにしている)

全体でも62頁の薄手の同人誌で、主な寄稿者は、発行人の中野嘉一の他、春山行夫鍵谷幸信、近藤東など。なかなか充実している。表紙に瀧口のデカルコマニーの図版が用いられているのも、好ましい。

この20年余りの間で、タッチの差で逃がしたことが数回あり、これはもう縁がないのか、と諦めかけていたのだが、やはりこれだけ長い間待ちつづけると、機会は巡ってくるものだ。

そういえば『妖精の距離』も、4回ほど逃がしている。その間に、値段がすっかり高くなってしまったので、今後、出てきたとしても、おそらく手は届かないだろうが、それでも、いつか入手する機会が巡ってくるかもしれないと、淡い期待は抱いている。希望は、持ちつづけることが大切なのだと、今回の経験は教えてくれた。