J画廊についてのインタヴュー

夕方、買い物から戻り、郵便受けを見ると、かなり大きな、紙質のよい、緑色の封筒が入っている。(こんなシャレた封筒、アスクルあたりなら扱っているのだろうか?) 某県立美術館の公式の封筒で、裏側には、学芸員の方の署名と、「調査協力のお願い」との記載がある。部屋に戻って中を開けて見ると、A4版で4〜5頁の文書が入っていた。

内容は、現代美術においてJ画廊が果たした役割と、その経営者Jさんの足跡について調べているので、インタビューに応じていただけるかという照会と、もしOKなら今来月で候補の日を挙げていただきたいとの依頼だった。

調査の趣意書を読むと、あるコレクターから、かなり大量の美術品の寄託を受けたのを契機に、そのコレクターの主な蒐集ルートのひとつとして、この画廊の存在が視野に入ってきたそうで、この画廊には瀧口修造東野芳明も関係し、経営者の周囲には、現東大教授のKさん、いまやテレビでも活躍している古美術商Nさん、コレクターの大先達Kさん・Sさんなどがサークルを形成していた、と述べられている。

こうした錚々たる人々に加えて、私の名前も挙げられているのは、何とも奇妙な話だが、逆に、本来は同列に並ばないような人たちが、平然と並べられていること自体、この画廊と経営者Jさんの、交流・ネットワークのあり方を示すものということができるかもしれない。

実は以前も、ある新設美術館の開設準備の段階で、美術館の運営全般と、特に友の会制度について、どう思うかを訊かれたことがあったが、今回のは、いわば現代美術の歩みについて訊かれているようなものだ。光栄でもあるが、もうそんなことを訊かれる立場になってしまったのか、という感慨もある。

いずれにしろ、古い知り合いのJさんのためなら、一肌もふた肌も脱ぐつもりなので、インタビューには喜んで応じよう。